ISO 50001 エネルギーマネジメントシステムの特徴 (IMSコンサルティングWeblog)

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ISO 50001 エネルギーマネジメントシステムの特徴

2011年3月28日に、エネルギーマネジメントシステムの国際規格ISO50001のFDIS(最終ドラフト)が公開されました。これから2ヵ月間の投票に付されてIS(国際規格)の発行を目指すことになります。
この規格は、ISO 14001環境マネジメントシステムとよく似た構造を持ち、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回して、マネジメントシステム及びエネルギーパフォーマンスの改善を目指すことを意図しています。
ここでは、この規格(ISO 50001)の概要を理解するために、現在広く普及してるISO 14001環境マネジメントシステムと比較して、その特徴をご紹介致します。

ISO 14001と比較すると、ISO 50001の最大の特徴は以下の2点にあると言えます。

* エネルギーパフォーマンスの継続的改善を明確にしていること
* 組織のエネルギーの使用を対象としていること。

エネルギーパフォーマンスの継続的改善

この規格は、従来のマネジメントシステムと一線を画して、エネルギー使用総量、エネルギー利用効率等の“エネルギーパフォーマンスの継続的改善”を要求しています。
ISO 14001環境マネジメントシステムや、ISO 9001品質マネジメントシステムも、もちろん環境パフォーマンスや、製品品質、顧客満足度等のパフォーマンスの改善を意図していますが、その直接的な要求は、“組織のマネジメントシステムの継続的改善”に留まっていました。すなわち、一貫して“アウトプットを生み出すプロセス(仕組み)が改善されれば、アウトプットも良くなっているはず。”という考え方に立っていました。
ISO 50001では、それを一歩進めて、“エネルギーパフォーマンスの継続的改善”を要求事項としています。
ISO 9001:2008年版の改訂においてOutput Matters(品質マネジメントシステムの成果)に関する議論が活発に行われたことは、記憶に新しいとことですが、これからのマネジメントシステムの運用において、“パフォーマンス”は一つのキーワードとなることは間違いないようです。

組織のエネルギーの使用が対象

規格の制定においては、この規格の管理の対象を、“エネルギー側面(Energy Aspect)”とするか、“エネルギー使用(Energy Use)”とするかが一つの大きな論点になりました。
ISO 14001の管理の対象は、環境側面(Environmental Aspect)すなわち、環境と相互に作用する可能性のある組織の活動、製品、サービスの要素とされています。このことは、組織が顧客等に提供する製品や、サービスもマネジメントの対象であることを意味しますが、 今回のISO 50001では、結果としては、組織のエネルギー使用をマネジメントの対象としています。この部分については、ISO 14001との相違があることに注意が必要です。

この規格は、ISO14001や、ISO50001と同様、第三者がその適合性の認証に使用することができる要求事項として整理されています。
組織の最大の関心事は、既に、ISO 14001環境マネジメントシステムを導入しており、省エネ法にも適合したマネジメントをしているのに、さらにISO 50001を導入するメリットは、どこにあるのだろうか? という点では無いでしょうか?
確かに、エネルギーの使用も、組織の環境側面の一つであることは間違いありません。
しかしながらエネルギーの安全供給は、材料や部品、労働力、資金の供給と同様に企業活動の大動>脈ともいえるものであることを十分に認識する必要があります。戦略的に事業活動に必要なエネルギーを管理することは、環境マネジメントとは別の側面も持っているはずです。
規格の発行を、“認証の要求の追加”と捉えるのではなく、組織の戦略的なマネジメントを支援するための機会と捉えることが重要ではないでしょうか?

「ISO 50001 エネルギーマネジメントシステムの特徴」について

2011年05月03日 19:29に投稿されたエントリーのページです。

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